動物の眠りは時間も形態も種によって実にさまざま。魚やカエルなどは、体を休めるだけの睡眠(原始睡眠と呼ばれます)形態しかなく、哺乳類以上になると人と同じように、逆説睡眠*と徐波睡眠*が見られる(小さい動物には逆説睡眠が多い)ようになります。
動物の眠りは生活環境、気温、食事の内容などに影響されることが考えられ、種ごとに進化や変化が見られます。ちなみに、恐竜には体温調節機構があり、徐波 睡眠や逆説睡眠があったという学者は多く、かつて恐竜が生存していたころは人も夜行性で、恐竜が絶滅してから昼行性になったといわれていています。
*逆説睡眠(Paradoxical Sleep)=眠っているのに脳は覚醒に近い状態にありますが、身体の筋肉は弛緩し、揺り起こしてもなかなか目覚めない。人の場合でいうレム睡眠のことですが、必ずしも眼球運動が起こるわけではないため、こうよばれます。
*徐波睡眠(Slow Wave Sleep)=人でいうノンレム睡眠にあたります。ゆっくりとした脳波が見られることからこう呼ばれます。
主な動物の睡眠時間は下記の通りですが、ナマケモノという名前の由来通り、1日20時間も眠る動物もいれば、ウマやヒツジのように2~3時間程度しか眠ら ない動物もいます。ただ、長く眠る動物でも、人のように何時間も連続して眠る動物はとても少なく、人の眠りが、他の動物に比べて特異に成長した大脳を休息 させる独特の睡眠だということがわかります。
(1977年 Meddis“Sleep Instinct”参照)
| 睡眠時間 | 種類 |
| 20 | オオナマケモノ |
| 19 | キタオポッサム、オオチャイロコウモリ |
| 18 | オオアルマジロ |
| 17 | ヨザル |
| 16 | 北極リス |
| 15 | トガリネズミ |
| 14 | ネコ、ハムスター |
| 13 | イヌ、マウス、ラット、ハイイロオオカミ、リス |
| 12 | 北極ギツネ、チンチラ、ゴリラ、アライグマ |
| 11 | ビーバー、ドウケザル |
| 10 | ジャガー、ベルベット、モグラ、ハリネズミ |
| 9 | チンパンジー、ヒヒ、キツネ、リスザル |
| 8 | ヒト、ウサギ、モルモット、ブタ |
| 6 | ハイイロアザラシ、ハイイロハイラックス、ブラジルバク |
| 5 | イワダヌキ(ハイラックス) |
| 4 | キリン |
| 3 | ウシ、ウマ、アジアゾウ、アフリカゾウ、ロバ、ヒツジ |
| 2 | ノロジカ |
文章:睡眠改善インストラクター 竹内由美