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眠りについて知ろう

No.26 睡眠とお酒

お酒が好きな方は多いと思いますが、もし、お酒を眠るために利用しているなら、それは止めたほうがよさそう。「お酒を飲むとよく眠れる」といわれることがありますが、実際はそうではないからです。そこで今回は睡眠とアルコールの関係についてご紹介します。

日本人は不眠解消のためにお酒を飲む人が多い

毎日とはいわなくとも、お酒をよく飲むという人は多いと思いますが、日本人のアルコール摂取量は、他の国に比べると、けっして多くはありません。しかし、 日本をはじめ、オーストリア、スペイン、ポルトガル、ブラジルなど10カ国3万5000人を対象に調査したところ(国際疫学調査2002年)、「不眠解消 のためにお酒を飲む」と答えた人の割合は、日本がなんと第1位。そんな答えが出た一方で、「不眠解消のために医師に相談する」と答えた人の割合は日本が最 下位でした。つまり、日本人は「お酒を飲めば眠れる」と信じている人が多く、「医者よりお酒」と考えているようです。

でも、それで健康を害することなく、本当によく眠ることができれば問題はないのですが、実際はそうではないようです。

アルコールでは良い眠りは得られない!

アルコールは、麻酔薬と同じような作用があり、たくさん飲みすぎると覚醒中枢も睡眠中枢も麻痺させてしまいます(それがアルコールの急性中毒で、ひどくな ると呼吸中枢なども停止してしまう)。その一方で、アルコールには、覚醒水準調節作用といって、興奮している人には鎮静効果を、抑うつ状態の人には興奮効 果を与えるという、ちょっと不思議で便利な作用ももっています。この作用はコーヒーやタバコも同じで、イライラしている人が利用すれば気分がホッとし、眠 気が強い人が飲めば、目が覚めます。つまり、夜になっても何故か、気分が興奮して眠れないというときにアルコールを飲めば、ホッとできて寝つきがよくなる 可能性はあるのです。でも、それが大きな落とし穴!

その作用は気持ちをコントロールするのにはある程度有効なのですが、実際にお酒で眠ろうとすると、大量のアルコールが必要になります。

アルコールは、少量だと興奮性の作用をもつため、お酒で眠ろうとすると、かなりの量を飲まなくてはならなくなります。そのうえ、深酒を習慣にしてしまうと アルコール耐性ができてしまうため、さらにアルコールの量が増えることになり、最終的にはアルコール依存症+不眠になってしまうことが…。

本来、睡眠は脳と体を休息させる時間ですが、毎日大量にお酒を飲んでいれば当然、アルコールを分解するために肝臓などの内臓は休むことができません。ま た、大量のお酒を飲んで眠れても、実はそれは、本来の眠りではありません。先ほど述べたように、それは中枢が麻痺して意識を失った麻痺状態になっているだ け。そのため、本来、睡眠中に行なわれる機能回復過程はほとんど停止してしまっているといわれています。お酒の飲みすぎは生活習慣病にもよくないといわれ ますが、眠りの質が低下することも影響しているといえるでしょう。

アルコールを飲んだ日は朝早くに目が覚めることがありますが、これはアルコールが分解されて中枢の麻痺が解けたために、覚醒中枢が働き始めたため。本人は 目覚めもよく、よく眠れたと思っても、実際の脳と体は睡眠不足と同じ状態。毎日そんな生活を続けていれば、中枢神経のバランスもくずれ、脳や体の機能にも ダメージが現れてしまうことに…。

アルコールはレム睡眠を減少させ、中途覚醒を増やす作用があるうえ、利尿作用によって 夜中にトイレで目が覚めることも増えるので、お酒を飲むのはけっして効率的な睡眠法ではないのです。

とはいえ、楽しいお酒は人生のスパイス。お酒と上手に付き合うには、まず、飲みすぎに気をつけましょう! そして、お酒で眠ろうとしたり、ストレスをお酒 で発散するといった依存的な飲み方は止めること。また、寝る直前まで飲むのは避け、就寝の2~3時間前には切り上げるようにしましょう!

どうしても眠れないという人は、お酒にたよらず、専門医に早めに相談を!

文章:睡眠改善インストラクター 竹内由美
参考図書:「快適睡眠のすすめ」(岩波書店)堀忠雄著

日本睡眠学会 Japanise Society Of Sleep Research
JOBS 一般社団法人 日本睡眠改善協議会