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眠りについて知ろう

冬の睡眠対策

 日本の冬は、地域によって異なりますが、寒冷で乾燥した気候の地域がほとんどです。雪の多い日本海側でも湿度の低い日も多く、高温多湿の夏とは大違いです。また、日本海側では、雪や曇りで日照時間が極めて少ない地域も多いでしょう。日照時間と寝室の温湿度は、睡眠に大きく影響します。10月のコラムでも言及しましたが、日本人のほぼ13%に、冬に気分が落ち込み睡眠時間が比較的長くなり、睡眠の質も悪くなる人がいます。女性の方に多い傾向があります。日照時間が少なく月の平均気温が低い地域に多いのです。日中にしっかりと太陽の光を浴びていれば、気分の落ち込みも改善し、睡眠を安定させる夜間のメラトニンの分泌も増え、睡眠の質が良くなります。冬の日照時間の少ない地域では、高照度光照射装置(2,500ルクス以上)や色温度や照度を変えられる1,000ルクス以上の明るいLEDシーリングライトも販売されていますので使ってみるとよいでしょう。また、朝から午前にかけては、朝の太陽光に近いブルーライトを含む白色光が、夕方から夜にかけては夕日に近い暖色光が体のリズムを整えるには良いとされています。

 寝室の温度が10度を切ると睡眠が障害されます。睡眠中に、顔が冷気にさらされると自律神経のバランスがくずれて、十分に休息できないことも知られています。快眠を誘う寝室温は18~26℃、冬の最適温は20±1℃ですが、暖房費のことを考えると難しいことも多いでしょう。しかし、寝室の温度が極端に低いと、寝具内部の温度は一般に30℃を超えていますので、大きな温度差ができてしまいます。お手洗いで目覚めて急に寝具から出ると、ヒートショックで血圧が急激に上昇して危険です。循環器系に問題のある人は、寝室を16℃以上に暖かくしておきましょう。

 一方で、寒冷で乾燥した冬でも、寝室の構造などで適切な温度に暖房できないこともあります。その場合は、寝具で対応するしかありません。寝具による防寒では、敷寝具と掛寝具のセットでの対応が必要です。冷気は下から上がってくるので、敷寝具で冷気を遮断し、掛寝具で保温することで、寝床内気候(敷寝具と掛寝具の間の温度と湿度の状態)を快適に保つことができます。掛寝具は隙間からの冷気が侵入しないような、柔らかくて軽いダウン素材や高機能の合成繊維のような掛寝具が望ましいのです。厚くて重い素材のような掛寝具では、寝返りで隙間ができて冷気が侵入し、保温効果が下がってしまいますので、あまりお勧めできません。また、寝返りが難しく、腰痛の原因になることもありますので要注意です。枕は、少し大きめのものを使用しましょう。夏の枕と冬の枕は、役割が異なります。夏の枕は、頭を涼しくし汗を吸い取る働きが、冬の枕は首と肩を保温する役割が大切です。高さが合っていることが、もちろん第一なのですが。

 冷え性の人は、寝具と寝室を事前に暖かくしておき、就寝20~30分くらい前に40℃前後の湯温で入浴し、暖かい状態で眠りにつくことをお勧めします。電気毛布を一晩中つけて眠っている人もいますが、熱負荷がかかっていると深部体温(体の内部の体温)が下がりにくく、睡眠の質が低下することが判明しています。電気毛布を使う場合には、眠りにつく時にスイッチを切ることと、体に直接あたらないようにしましょう。お勧めは布団乾燥機です。就寝前、お風呂に入る時に布団乾燥機をセットしておけば、寝具内は暖かく乾燥し、敷寝具と掛寝具もふかふかになっていますので、眠りにつきやすくなります。

 昔から「かぜ」は万病の元と言いならわされてきました。「かぜ」を引いていると、他の病気に対する免疫力が落ちてしまうからなのです。体力のない高齢者や幼児では、リスクはさらに高くなります。いわゆる「かぜ」は、医療で言う「普通感冒(かんぼう)」のことで、インフルエンザや気管支炎などを含めてかぜ症候群と呼ばれています。普通感冒(かぜ)の原因の80~90%はウイルスです。「かぜ」を引き起こすウイルスには、ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルスなど200種類以上ものウイルスが知られています。空気中にふわふわただよっているウイルスなどが気道の粘膜に付着して、粘膜の細胞内に侵入し増殖することで、「かぜ」の症状が始まります。「かぜ」の症状が生じるかどうかは、感染した人の免疫力や環境要因によって影響されます。「かぜ」の予防の第一は、外出後の手洗いとうがいですが、睡眠の影響も大きいのです。過去一週間の睡眠時間が6時間未満の人は、7時間以上の人とくらべて「かぜ」を発症するリスクが5倍以上になるとの報告もあります。また睡眠中は、7時間近くもからだの防御機能が低下した状態で過ごすことになります。ちりほこり、ダニの死がいなどで寝具や寝室の空気が汚れていると、「かぜ」に抵抗する免疫力が落ちてしまいます。寝具を清潔にするように心がけ空気清浄機を寝室に設置することで、「かぜ」発症の環境要因のリスクを下げておきましょう。「かぜ」の予防には寝室の湿度も大切です。「かぜ」のウイルスの多くは15~18℃の環境で活発に活動し増殖します。ウイルスは水気を嫌い、湿度が50%以上になると95%以上が死滅してしまいます。冬の寝室には加湿器を使用し、空気が乾燥しないようにしておきましょう。

文章:睡眠評価研究機構代表 白川修一郎先生

日本睡眠学会 Japanise Society Of Sleep Research
JOBS 一般社団法人 日本睡眠改善協議会