快眠コンソーシアム

眠りについて知ろう

No.44 動物の眠り - その2

前回は、いろいろな動物の睡眠時間についてご紹介しましたが、今回は主な動物の眠りの特徴についてご紹介します。ペットを飼っている人が増えていますが、ペットと共存するためにもぜひ、知っておきましょう!
犬・猫
睡眠時間は1日12~14時間。子犬はもう少し長いといわれていますが、一度に眠る時間は犬で1時間弱、猫で50~100分程度です。逆説睡眠*も見られ、猫では一晩に約200分も逆説睡眠をするといわれています。一般的には、筋肉が完全に弛緩する時間は短く、寝ていても聴覚は活動しているともいわれていますが、狩りの必要性がなくなり、安全が確保されたペットでは、筋肉が弛緩する時間は長くなり、睡眠時間も長くなる傾向が見られます。野生の犬ではおなかを上に向けて眠ることはないといわれていますが、ペットになるとダラリとだらしない状態で眠るようになり、猫でも、水槽の上などで寝ていて水に落ちてしまったという報告があるほど。また、どちらも本来は夜行性ですが、ペットになると人の生活に合わせるようになります(犬のほうが人に適応しやすい)。

*逆説睡眠(Paradoxical Sleep)=眠っているのに脳は覚醒に近い状態にありますが、身体の筋肉は弛緩し、揺り起こしてもなかなか目覚めない。人の場合でいうレム睡眠のことですが、必ずしも眼球運動が起こるわけではないため、こうよばれます。

種類により睡眠には差が見られます。シギやツグミ、ツバメは短く、鷹やハヤブサ、ムクドリは5時間程度、ガチョウ、ペンギンは6~8時間、鳩は12時間も眠りますが、フクロウはさらに長く、14時間~16時間も眠るといわれています。鳥には人と同じような徐波睡眠*が見られますが、逆説睡眠*は非常に少ないのが特徴(一晩に20分たらず)です。というのも、鳥は木に止まって眠ったり、立ったまま眠るので、筋肉の緊張がとれてしまう逆説睡眠が長いと都合が悪いのです。ただし、巣で育っているヒナやニワトリのように地上で暮らす鳥は逆説睡眠が長くみられます。

アホウドリやツバメなど、何千キロも移動する渡り鳥は、飛んでいる間は眠らないといわれていますが、後で紹介するクジラやイルカのように、脳を片方ずつ交互に休ませているのではないかとも考えられています。集団で棲息する野鴨などは、集団の周りにいるものが眠らず、危険が近づけば仲間に知らせるという習性がありますが、この場合の鳥の脳波を調べてみると、一方の脳が眠っていても、もう一方の脳は目覚めていると報告されています。

*徐波睡眠(Slow Wave Sleep)=人でいうノンレム睡眠にあたります。ゆっくりとした脳波が見られることからこう呼ばれます。

ウサギ
8時間程度眠りますが、神経質なため、うるさい場所では睡眠量は大幅に減ってしまいます。また、眠っていても聴覚系の一部は目覚めていて音を感知しているといわれ、一度に眠る時間も短いようです。

シマリス
1日に10時間以上眠るうえ、冬になると冬眠します。ただし、コウモリは寒くなると冬眠しますが、シマリスは真夏に寒い部屋に入れても冬眠しません。それはシマリスが1年刻みの生体カレンダー(季節性)を持っていると考えられ、夏に寒い部屋に入れると寒さで死んでしまうことがあります。冬になると、環境温度より1~2度体温を上げて(気温5度だと6~7度にする)冬眠します。気温が下がるとさらに産熱して体温を一定に保ち、心拍数は通常毎分300だったものを毎分2拍に下げます。脳波は平坦になり脳の温も下がり、脳死に近い状態になります。冬の間、ずっと眠りっぱなしではなく、1週間から10日経つと、30分くらいかけて体温をもとの37度まで上げ、10数時間覚醒して餌を食べたり排泄して、また冬眠します。体温を下げるのには3時間ほどかかるそう。冬眠中でも周囲に何が起きているかわかっているといわれ、何かあると時間はかかるものの体温を上げ、逃げるといいます。

ネズミ
1日の総睡眠は12~13時間と長いのに、一度に眠る時間はハムスターで11~12分程度、ラットで6~13分程度だといわれています。また、ポケット・マウス、ジャンガリアン・ハムスター、シロアシハツカネズミなどはデイリー・ドーパーという日内睡眠をとります。

草食動物
エネルギーの低い草*を主食としているため、身体が大きいほど食事に時間がかかり、睡眠時間が短くなります。象ではわずか3時間程度といわれています。また、シマウマ、ガゼル、シカなど、危険な棲息環境にいて襲われやすい動物も睡眠が短く、安全度によって睡眠量が異なります。そのため、動物園で飼育されている場合などでは長くなるようです。

*木の実など栄養価が高いものを食べる動物は長く寝られる傾向があり、3時間程度しか眠らないヒツジでもたんぱく質をたくさんあたえると逆説睡眠が増えるといわれています。

クジラ、イルカ、シャチ
魚類の睡眠については脳波を測定することがむずかしく、生態がわかっていないものが多いようですが、活動しなくなる時間があることは多くの魚で確認されています。

クジラ、イルカ、シャチの睡眠時間は短く、2~5時間と考えられていますが、モスクワ大学のムカメトフ氏によると、右半球が眠っているときは左半球が目覚め、左半球が眠っているときは右半球が目覚めるというように、脳が半分ずつ交互に眠っていると報告されています。その証拠に、イルカに全身麻酔をすると、呼吸ができなくなって死んでしまうそう(人は寝ている間も中枢が自動的に呼吸を調整する機能がありますが、イルカなどにはそれがない、完全に眠ると止まってしまうのです)。この事実からは脳が片方ずつ眠ることが推測されますが、マッコウクジラなどは海中に潜っている1~2時間は呼吸をしないといわれており(酸素を血液と筋肉に大量にためることができるため)、これらの生態にはわからないことがまだまだ多いよう。

文章:睡眠改善インストラクター 竹内由美