しかし、同調する範囲には限界があるため、海外旅行などで一気に何時間も生活時間が変わると、現地の生活時間に同調できなくなるため、時差ボケが起こります。ちょっとむずかしい言葉ですが、外的環境と生体リズムが一致しなくなることから、この状態を外的脱同調といいます。数日して時差ボケが解消するのは、生体リズムが徐々に調整され、現地時間に同調するためです。
もうひとつ、不規則な生活をしている人に起こりがちなのが、内的脱同調です。ずっと同じ場所で生活しているのに、不規則な生活(交代勤務や夜勤などを含む)などをしていると、いくつもある体内時計同士が同調できなくなり、生体リズムが乱れることがあります。通常、体温は起きる少し前から高くなり、夜になると下がり始め、夜中にもっとも低くなります。それが眠りやすさや深い眠りにも大きく影響しますが、内的脱同調が起こると、起きる時間なのに体温がまだ上がっていない、眠る時間なのに体温が下がっていないなど、理想的なリズムから外れ、眠れない、だるいなど、時差ボケと同じようなことが起きることがあります。
外界の時間がわからない中で数週間過ごすという実験を行った研究者がいますが、被験者の生活は毎日どんどん後ろにずれ、数日後には昼夜逆転状態になったといいます。また、それだけではなく、体にも不調が現れたと報告されています(それぞれの時計がバラバラに動き始めた内的脱同調が起きたと考えられます)。
この結果と時差ボケの結果からいえるのは、私たち人は、体内時計だけを頼りに生きることはできず、太陽のような外的要因が必要であること。同時に、太陽の光を浴びる時間が一気に変わってしまうことに対してはすぐには対応できないということです。
生体リズムを乱さないためには、なるべく同じ場所で過ごし、その場所の太陽の時間に合わせて生活することが理想だといえます。長い歴史の中で、私たちの体は自然に自分が生きている場所の太陽の動き(地球)と同調するように形成されたと考えられ、ジェット機のように、一気に生活時間が変わる生活や、自分勝手な生活、昼夜逆転した生活など、現代的な生活にも対応できないといえるのです。
今までも、太陽の光は体内時計を調整するとても大きな要素と延べてきましたが、昔ながらの自然に即した生活が、人にはもっとも負担のない生き方というわけです。